債務整理を分かりやすく表現してみよう
スタンダード&プアーズのチーフ・エコノミストが数週間前に発表したレポートは、「ECBの経験は人々にインフレ・ターゲットに関する自信をあまり与えない」と述べている。
欧州でのインフレ・ターゲットがわれわれのパフォーマンスよりも酷いのに、なぜあなたは、ここでその道を通ろうとするのか。
確かに過去一○年以上、米国経済のパフォーマンスは欧州経済を上回っている。
ECBの政策は私が主張している政策と非常に重要な点で異なっている。
ECBの使命は「物価の安定」だけだ。
他の問題は、物価安定が達成される範囲内において考慮される。
それをあなたはどう思うか。
まったく賛成できない。
前FRB理事のE・Gは、インフレ・ターゲットに向かうあらゆる動きには、議会の承認が必要だと述べている。
「インフレ・ターゲットを公式に採用するかしないかの判断は、FRB次第ではない。
議会が連邦準備法を変えるまでは、FRBは現在の目標(主に最大雇用と物価安定)を追求する」。
G理事にあなたは賛成するか?手練の上院議員とは恐ろしいものである。
BはFRB理事時代に、インフレ・ターゲットとはいっても雇用にも配慮するつもりがあると柔軟な姿勢を見せていた。
彼の前提にはいくらか賛成できない。
前にも述べたように、私はハンフリー・ホーキンス法が定めた使命(最大雇用と物価安定)に全面的に同意している。
その目的を変えるような政策を私は提案するつもりはない。
インフレ・ターゲットは、目的の変更ではなく、基礎的な操作手段の変更なので、法律改正を必要としない。
なぜなら、私はFRBの使命を変更することには関心がないからだ。
あなたは確かに一方的にそれ(法改正によるFRBの使命の変更)を行うことはできない。
議会に来なければ、あなたはそれを行うことはできないということだね。
法律を変えるためには、確かにそうだ。
イエス、イエス。
たくさんの人々が、ECBはインフレ・ターゲットを唯一の目的として採用していると思っている。
そして、それは、米国よりもインフレ率を特に改善できていないのに、経済成長に損失をもたらし、失業を招いている、と思われている。
上院議員、私はその目的には反対である。
私は「二つの目的」が正しいと考えている。
B議長は、当面は財政政策に対して発言を控える模様である。
アラード議員(共和党)はそのスタンスを支持し、「債務や赤字の最終決定権は、当然ながら大統領と議会にあることをドクター・Bが認識していることを私は評価する」と述べている。
一方、民主党議員は、G議長が二○○一年にB政権の減税策を支持したことを強く批判している。
Bも同様の過ちを犯さないように牽制を発している。
G議長の金融政策管理のトラックレコードは非常に素晴らしかったが、二○○一年の減税政策を正当化したことは問題だ。
あなたの前任者は多大なる功績を残したが、議会における税政策の議論に介入したこと(減税を支持したこと)は批判されている。
その介入の結果、大きな財政黒字が今日の膨大な財政赤字を招いてしまった。
彼らの発言の様子を見ていると、もし、FやHをB大統領がFRB議長に任命していたら(彼らは減税策の設計者あるいは支持者だった)、民主党議員の反発は激しかっただろう。
インフレ・ターゲットへの反対どころではなかったと思われる。
この点で、B政権がBを任命したことは無難な選択だったことが分かる。
により、今後はその点をより明確に表現する必要が生じたといえる。
二○○六年一月二二日、上院銀行委員会は賛成多数でBのFRB議長就任を決定した。
同委員会で民主党最有力者であるB議員はこの日もBに釘をさしている。
「FRBが"二つの使命"に敬意を払い、FRBがそれをインフレ・ターゲットに置き換えないことは重要であると私は強調したい」。
B政権の支持率が低迷しているだけに、先行きの選挙で民主党が力を増す可能性は十分ある。
Gのように"マエストロ"と呼ばれるほどの信認を得る立場になれば、議員の方もその威光を借りようとして迎合的な態度を取るようになってくる。
しかし、新任議長であるBにとっては、上院銀行委員会を懐柔することは当面の課題となるだろう。
もともと政治的主張が薄いBだけに、要領よく立ち回ることは可能だろうが、G的な"職人芸”を身に付けるにはしばらく時間がかかると思われる。
インフレ率に苦しんだ国の多くの中央銀行は、一九九○年代にインフレ目標を掲げるようになった。
その枠組みや実際の運用例は国によって様々である。
E・Mによれば、インフレ・ターゲットを採用している世界一三カ国のうち、目標とするインフレ率の達成時期中央銀行に罰則を課さない国も多い。
一方で、インフレ率が目標から逸脱した場合は、議会に説明しなければならない国もある(イギリスなど)。
達成時期を明示している国の多くは、一〜二年後など将来のインフレ率を目標にしている。
近年ではイギリスやオーストラリアなど多くの国で住宅価格の高騰が発生した。
住宅価格はインフレ指標に含まれないため、インフレ・ターゲットと住宅ブームの整合性に悩む国が増加している。
最近の全般的な傾向を観察すると、インフレ・ターゲットを長く運営するにつれ、当初企図していたインフレ率に対する"厳格さ"が消え失せ、運営が柔軟になってきているケースが多く見受けられる(例えば、ニュージーランドでは、インフレ率が目標から逸脱すると中央銀行総裁は罷免され得るが、実際は何度か逸脱しながらも、様々な釈明によって罷免されていない)。
現実の中央銀行はインフレ率の安定以外にも、成長率、為替レート、住宅バブルなど考慮せざるを得ない様々な問題を抱えている。
このため、機械的ルールのようなインフレ・ターゲットを実行している国は現実には存在していない。
目標とするインフレ率は、政府が決定するケース、中央銀行が決定するケース、両者の協議で決定するケース、がある。
ただし注意が必要なのは、政府が決定する場合、一般的には政府も自ずとその目標に対して責任を負うことになる。
例えば、政府がインフレ率を押し下げたいと考える場合は、それと非整合的な政府支出拡大(公共事業の拡大や公務員給料増加など)を自ずと控えることになる。
現在の日本のように、政府は財政再建のために支出削減など議会証言でも述べているように、Bはコンセンサスが形成されるまでは、強引にインフレ・ターゲットを採用することはないだろう。
環境を整備しながら、徐々に移行していくことになると思われる。
理由としては、次の二点である。
デフレ的財政政策を志向し、その一方で日銀にインフレ率引き上げを命じる、というようなインフレ・ターゲットが仮に実施されると、海外の運営例と比較した場合は非常に珍しいケースとなるだろう。
ECB(欧州中央銀行)は「プラス二%未満」という目標を掲げている。
同行はそれを「物価安定の定義」と名づけ、インフレ・ターゲットとは呼んでいない。
しかし、それを広義のインフレ・ターゲットと見なす研究者、市場参加者は多い。
日本では「ECBは"インフレ参照値”を採用している」と言われることがあるが、"インフレ参照値”(結果責任を求められないインフレ・ターゲットというイメージ)という名称は日本独特の分類である。
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